FACTOTUM 有働幸司氏 × THEATRE PRODUCTS 武内 昭氏 クロストーク


0113今回、「Reebok CLASSIC (リーボック クラシック)」の”INSTAPUMP FURY”のデザインに関わっていただいたFACTOTUM Designer 有働幸司氏とTHEATRE PRODUCTS Designer 武内 昭氏の対談企画をatmos mag 本誌にて敢行をしました。東京のファッションシーンを支えてきた二人が、独自の視点で、スニーカーに対する想いを語り合っています。

atmos(以下A) : 90年代ブームで当時のスニーカーがリバイバルしていますが、おふたりは、その頃どんなスニーカーをはいていましたか?

武内 昭(以下T) : 中学、高校と6年間テニス部だったので、自分の強い意志で買った最初のスニーカーはリーボックのCOURTVICTORY 2でした。

有働幸司(以下U) : エレガントですねー(笑)。

T : マイケル・チャンに憧れて、ラケットはグラファイトを使っていました。友達がCOURT VICTORYを買った時は、『ヤバイ!』と思って、自分は2を、それこそ清水の舞台から飛び降りるような気持ちで(笑)。当時も2万円くらいしましたから。そのスニーカーは今でも持っています。もう劣化してボロボロですが……。90年代の最初の思い出はそれかな。テニスばかりやっていたからCOURT VICTORYを履いている時間がすごく長くて、リーボックかローファーかって感じでしたね。

U : おしゃれな高校生だ(笑)。学生の頃の話をすると、僕は熊本だったので……。

T : 僕、長崎なので、ファッション的には熊本に憧れがあるんですよ(笑)。

U : 確かに熊本は街の雰囲気が良くて、いい洋服屋が多かった。でも、学生時代はお金がなかったので、僕の高校時代はコンバースのALL STAR。自分が通っていた熊本の古着屋にもセレクトショップにも必ずALL STARが置いてあって、シンプルでカッコよかった。ALL STARのどんなスタイルにも合う佇まいと雰囲気が好きでした。値段的にそれしか買えないというのもあったんですが(笑)、東京に出て来てからはスケボーをやっていたので、バンズやエアウォークとか。

T :エアウォーク! すごく懐かしい(笑)!! スケーターだったんですね!!!

U : エアウォークはカラフルで派手なデザインが多かった記憶があります。プロダクト自体にインパクトがありましたよね。当時のストリートとかスケータースタイルってジーンズとかショーツでわりとシンプルだったので、足元に派手なスニーカーを合わせるのが流行っていましたね。学生時代はヴィジョンのスニーカーも履いたかな?ロンディスとかメイド・イン・ワールドのような並行輸入の洒落た店がエアウォークで、ヴィジョンはストーミーとかムラサキスポーツみたいな本気の店に置いてありましたね。

A :スケーターがファッションとしても全盛期でしたよね。

T : 僕は東京に出て来た頃はパラブーツとか革靴も履くようになって、スニーカーで買うのはもっぱらローテク系でした。ケッズとかプロケッズ、JACK PURCELLのようなクラシックなモデルを意識し出して……。専門学校で洋服のことを勉強し始めるとスニーカーの歴史も気になってきて、スニーカーってもっと新しいモノだと思っていたら100年以上も歴史があって、1910年とか1920年くらいのカタログにも今と同じデザインが載っている。『ものすごい発明だったんだ!』と思ったら、見え方が違ってきました。時代を超えても形が変わらないスニーカーに興味を覚え、未だに売れているってすごいことだな、とてもカッコいいなって。

U : 本当に必要な機能だけで作ったから、完成度が高いんでしょうね。発展していくとテクノロジーとかいろいろ足していかなくちゃならないので、デザイン的にもプラスばかりで引くことがなくなってくる。そういうのがエスカレートして生まれたのがエアウォークとかなんでしょうけど、だからローテクの初期モデルってある意味、完結していますよね。それから、東京って不思議なところだなといつも思うのは『今日はハイテクの気分だから』、『このスタイルにはローテクが気分』と、ローテクとハイテクをその日の気分で履き分けたりできる自由度がありますよね。スニーカー的に楽しいシーンだと思います。

A : 自身のブランドでもスニーカーを作っていますね?

U : ファクトタムはリアルクローズなので、スニーカーは毎シーズン必ず1型はリリースしています。他のフットウエアも作ってもらっているフォブスというシューズメーカーとのコラボレーションで、シーズンテーマに合わせて製作します。作るからには長く履いてもらいたいから、リアルに服やブランドの世界観に溶け込むスニーカーというのを意識していますね。個人的にはローテクの変わらない魅力に憧れているんですが、完成されたスニーカーって手を加えないほうがいいという気持ちがあって……バランスは難しいですね。今はローテクとハイテクの中間ぐらいの感じで、新しいコンセプトやテクノロジーを盛り込んでチャレンジできたらと思っています。

T : ライフスタイルを考える中で、当然スニーカーは考えなくてはなりませんよね。僕もコレクションを考える時はスニーカーを想定したスタイリングを必ずいくつか入れますが、作るとなると話は別ですね。簡単にデザインできるアイテムではないけれど、アプローチ次第でいい提案ができるとは思うので、最終的にはやはりコラボレーションになってきますよね。

U : 大手スニーカーブランドとのコラボはやってみたいですね。

T : 工業製品なので、僕たちが普段作っている既製服とはロットが違う。専門的な技術がデザインに影響するウエイトが大きいので、どういうチーム組みをするのかが大事になってくるんじゃないかなと。長いスパンのプロジェクトを組んで挑んでいくんでしょうね……。

A :シ アタープロダクツとしてのスニーカーもありましたよね?

T : 国内のムーンスターやアサヒと数回コラボして作っています。ラストのセレクトから、フォクシングテープの種類やカラーまで選んだり、わりと細かいこところまでいろいろアレンジできました。

U : そういえば最近、『エヴァンゲリオン』とのコラボレーションでスニーカーを作りました。“エヴァ”が20周年ということでフォブス経由で話が来たのですが、形はファクトタム×フォブスのシューレースにカバーが付いた2ウェイスニーカーで、カラーリングが“エヴァ”カラー。

T :へー(笑)、零号機とかあるの?

U : あります。ソールがカーボンで初号機、零号機、2号機という3タイプ。秋葉原の“エヴァ”専門店などで販売されています。

T : 僕はずっとリーボックが好きで、EX-O-FIT HIとFREESTYLEの2型がシアタープロダクツの服とも相性がいいなと思っていて。スタイリング提案もしたかったので、その2型を店頭販売していたことがありました。今日履いているのはその時のモノです。もう10年くらい経っちゃって……。

U : 雰囲気いいですね。割れていたりしているのがまた。

T : あと、実は大人になったらニューバランスと、青春時代から思っていて。

U : わかります。アメリカのお金持ちのオシャレスニーカーみたいなイメージ、ありましたよね。

T : 憧れのブランドだったんですよ。30代半ばになって、そろそろニューバランスかなと思って、M1300とM998の2足を買いました。そしたら巷でめちゃくちゃ流行っていて、なんか恥ずかしくて履けなかった(笑)。それで最近はまたケッズのALLSPORTSとかCHAMPIONとか、ヴィンテージのスニーカーを履いています。
U : ニューバランスのM1300とM1400、あれは本当に素晴らしい!僕がセレクトショップで働いていた90年代にもニューバランスが流行りましたね。90年代は仕入れもローテクからハイテクまでいろいろやっていたから、JACK PURCELL、ALL STAR、ケッズ、スペルガとかもあったし、ミリタリーのジャーマントレーナーとかも履いていましたね。

A : NIKE AIR MAX 95をはじめ、すごいハイテクブームでした!

U : そうでしたよね。ハイテクだと僕はナイキのHUARACHE、AIRMAX。AIR JORDANはそこまでハイテクじゃなかったけど、AIR JORDANも好きでした。セレクトショップ時代は本当にいろいろなスニーカーを履きましたね。最近は毎シーズン、ファクトタムで作っているスニーカーを1足と、コンバースのALL STARの“Addict”シリーズは新しい素材が出たら買い足しています。“Addict”は機能的にも進化しているから、コンバースでもかなり履き心地が良くなっています。

A :“ Addict”はデザインはローテクでも、全般に履き心地は向上しましたよね。

U : あとはライフスタイルとしてジョギングをするので、こちらも毎シーズン、いろいろ試しています。ナイキ、アディダス、ニューバランスも履いていますね。リーボックもInstapump Furyで走ってみたり……。国内のスニーカーブランドだと僕はアシックスのランナー用シューズも履いていて、テクノロジーの高さは感動的ですよね。衝撃吸収の“GEL”とか……。

T : 僕はスニーカーの未来はそこにあると思っているんですよ!

A :ス ニーカーの未来はスポーツモデルにある?

T : 例えば、プロ仕様のトレーニングシューズをデザイナーが関わって作っていくようになったら、もしかしたら噂に聞く不振かもしれないプロモデルの現在を打破できるんじゃないかなと。僕は日本のデザイナーなので、日本のメーカーとプロジェクトを組んで、ファッションデザイナーとして深く突っ込んだモノ作りができたら、今までにないクリエイションが生まれると確信しています。でも、アシックスの進化は目覚ましいですよね! すごく可能性を感じます。

A : 技術もブランディングもヴィジュアルも進化していますよね。

T : 様々なショップが素材とかカラーリングなどいろんなスニーカーブランドとコラボを盛んに展開していますが、日本には良いデザイナーがたくさんいるんだから、うまく使えばいいのにと常々思っているんです。中々難しいことも多いのかもしれないけど……。

U:確かにアシックスは未来を感じるブランドですよね。昔からいい技術者がいて、70年代にも海外ブランドに引き抜かれたなんて話を聞いたことがあります。

T : ハイテクスニーカーとデザイナーのコラボレーションはやってみたらきっと面白いと思う。

A : AIR MAXやInstapump Furyがそうで、90年代に一世を風靡して、今また復活して人気を集めていますよね。ハイテクもやはり初期モデルが完成形なんでしょうか?

U : AIR MAXも大分いろいろ進化したけれど、やっぱり1stはいいですよね。ハイテクもいろいろ失敗を経て、最初に戻ってくるというのがあるのかもしれませんね(笑)。

有働幸司氏
(ファクトタム デザイナー)
東京モード学園を卒業後、ビームスを経て、1998年ラウンジリザードの立ち上げに参加。2004年に独立し、自身のブランドであるファクトタムを始動した。2006年には東京コレクションにデビュー。毎シーズン、テーマ性の高いランウェイショーを展開しつつも、リアルクローズに落とし込む手腕は見事。

武内 昭氏
(シアタープロダクツ デザイナー、京都造形芸術大学准教授)
エスモードジャポン卒業後、コム デ ギャルソンのパタンナーに。1999年、中西妙佳氏とカプセルリを立ち上げ、舞台衣装のデザインなどを経て、2001年に金森 香氏を加え、シアター プロダクツを設立。“洋服があれば世界は劇場になる”をコンセプトに、独自視点で創作やプレゼンテーションを行っている。